「ネトウヨ化」した喜多ちゃんにギターヒーローだと打ち明けた話
私は数日前、自分がギターヒーローであることを喜多ちゃんに打ち明けた。
別に虹夏ちゃん以外に、一生言う必要もないだろうと考えていたのだが、言わないことで何となく彼女に対して感じ続けていた心の距離を、ありのままを話すことによってきちんと縮めようと思ったのだ。
結束バンドが本格的に活動を始めたということもあり、私が一方的に陽キャオーラを漂わせる喜多ちゃんへの苦手意識をもち、どことなくぎこちないままだった彼女との友人関係を修復したかった。
「じ、実は、私がギターヒーローなんです…」
そうして考えた末、実はギターヒーローなんだと意を決して話すと、喜多ちゃんから返ってきた答えはあっけないほどシンプルなものだった。
「知ってたわよ、だってひとりちゃん、嘘つくの下手だもん」
まぁ思い返せば、私は昔からオーチューブで、ギターヒーロー名義で投稿していたのと同じ、ギブソン・レスポール・カスタム・ブラックと、ピンク色のジャージ。
そしてその服を着て学校に通い、そのギターでバンド活動をしている。ギターヒーローはそれなりに登録者数も再生回数も多く、バンドや音楽好きなら知っている人もちらほらといる。
喜多ちゃんが私にギターヒーローの話をしてきた時、私はめちゃくちゃキョドった。その時は何も知りません、と必死に誤魔化したが、彼女は怪訝な表情をしていた。
そりゃ喜多ちゃんも普通に気付いてるだろうと今なら冷静に思えるのだが、カミングアウトした直後に彼女の口からこの言葉を聞いた時は、私を支えようとしてくれた彼女と、ようやく真正面から向き合えた気がして不覚にも泣いてしまった。
この瞬間までは、私は、これからも彼女と良い関係が築けると信じていた。
「ひとりちゃん、私も話したいことがあったのよ。安倍晋三がね……?」
その直後、何の脈絡もなく彼女がいきなり安倍元首相や日本政府を称賛する話を始めるまでは。
私が勇気を振り絞って行ったカミングアウトは、喜多ちゃんの唐突な安倍晋三語りにより、たった数分で終了した。